勤務体制が診療報酬に与える影響

診療報酬とは、診療を行うことにより保険制度に基づき医療機関に支払われるお金のことです。医療機関の収入は、診療報酬に頼らざるを得ません。診療報酬は点数制で加算されるシステムを採っていて、初診料や再診料をはじめ検査料や注射料などの項目に点数が定められており、診療を実施した項目の加算により診療報酬が算出されます。

診療報酬は通常2年に1回見直しされることになっていて、公益代表者などから構成される中央社会保険医療協議会が審議して厚生労働大臣に価格改定の勧告を行い、最終的に厚生労働大臣が価格を決定します。診療報酬の点数は全体的に下がっており、医療機関は経営を安定させるため、受診者の少ない科を統廃合するなど様々な工夫を凝らさざるを得ません。公立病院も例外ではなく、採算を考えた経営を行い、診療報酬を増やすため尽力しているのです。

看護師の勤務体制も、診療報酬に大きな影響を与えます。入院患者に対して一定数の看護師を確保することが義務付けられていますが、看護師の割合が高いほど一般病棟入院基本料という診療報酬も上がるよう制度が定められています。患者7人に対して看護師1人の体制を採れば、患者15人に看護師1人の体制の1.5倍もの診療報酬を得られるのです。人件費がかさんだとしても、診療報酬の増加の割合の方が大きいので、看護師の数を増やすため新たに募集する医療機関も少なくありません。

資格があるのに看護職に就いていない潜在看護師が多く、人手不足に悩まされている医療業界では、更に看護師不足となる傾向が続いていると言っても過言ではないでしょう。このような状況だからこそ、現役で働く看護師も診療報酬について知っておくことが大切です。